P.ドラッカーはいう。マネジメントの要諦は、真摯さである。これがマネージャーが必要とする根本的な資質である。

「うまくいっている組織には、必ず一人は、手をとって助けもせず、人づきあいもよくないボスがいる。この種のボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、しばしば誰よりも多く人を育てる。好かれている者よりも尊敬を集める。一流の仕事を要求し、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない」

「ともに働く者、特に部下に対しては、真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は許さない。」

真摯さの定義についてドラッカーは次のようなことを考えている。強みに目を向ける、何が正しいかに関心を持つ、真摯さを重視する、部下を親身に思う、自らの仕事に高い基準を設定する、そんな人物をマネージャーに任命することであろう。マネージャーが真摯さであることの証明は、部下に認められることによってのみ可能である。

この真摯さは、英語で"integrity"のことのようである。ある人の定義によると次のような意味になるようだ。

Integrity means that you adhere to a moral conviction, or code of honor, that won't allow you to do certain things that you feel would debase you.

誠実、正直、品位と首尾一貫しているような感じに思えますね。

さて、トヨタ生産方式とは、豊田喜一郎らが提唱していた考えを大野耐一らが体系化したもので、製造現場におけるムダの削減を目的とした業務改善手法である。トヨタ生産方式の確立にあたって、鈴村喜久雄などの貢献を忘れてはならない。大野耐一と鈴村喜久雄さんたちの話は、本著でも大きく取り上げられている。

トヨタ生産方式でドラッカーの『マネジメント』を読み解く (幻冬舎新書) 価格：￥ 840（税込） 発売日：2012-05-30

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