面白くて一気に読み終えた。人類がアフリカで生まれて世界中に広がったように、現在の新興感染症の多くも、アフリカ大陸の密林から始まり全世界に拡散しているのは事実のようである。感染症の歴史は、人類史とパラレルにあるというわけだ。さらに難問は、広がって行く過程でウイルスは大きく変化していく。一部は人のDNAに組み込まれたウイルス遺伝子もある。中には感染力を大きく増幅させるウイルスが生まれる。観光立国を目指している日本では、世界中から観光客を迎え入れている。感染爆発がいつ起こっても可笑しくない状況である。自己防衛のために一読をお勧めする。

【目次】
まえがき――「幸運な先祖」の子孫たち

序 章 エボラ出血熱とデング熱――突発的流行の衝撃
1.最強の感染症=エボラ出血熱との新たな戦い
2.都心から流行がはじまったデング熱

第一部 二〇万年の地球環境史と感染症

第一章 人類と病気の果てしない軍拡競争史
第二章 環境変化が招いた感染症
第三章 人類の移動と病気の拡散

第二部 人類と共存するウイルスと細菌

第四章 ピロリ菌は敵か味方か――胃ガンの原因をめぐって
第五章 寄生虫が人を操る?――猫とトキソプラズマ原虫
第六章 性交渉とウイルスの関係――セックスがガンの原因になる?
第七章 八種類あるヘルペスウイルス――感染者は世界で一億人
第八章 世界で増殖するインフルエンザ――過密社会に適応したウイルス
第九章 エイズ感染は一〇〇年前から――増えつづける日本での患者数

第三部 日本列島史と感染症の現状

第十章 ハシカを侮る後進国・日本
第十一章 風疹の流行を止められない日本
第十二章 縄文人が持ち込んだ成人T細胞白血病
第十三章 弥生人が持ち込んだ結核

終 章 今後、感染症との激戦が予想される地域は?

あとがき――病気の環境史への挑戦