2016年のNHK大河ドラマは、「真田丸」であった。毎週日曜日楽しみに見ていたが、前半は草刈正雄氏が真田正幸が面白かった。歴史資料では、実際の真田正幸は小柄な武将であったようである。後半の主役は何といっても堺雅人氏が演じる真田幸村である。大阪冬の陣で真田丸を構築して徳川家康に抵抗し、日の本一の名将として名を上げたことで有名である。冬の陣の後、真田丸は壊され、堀も埋められ、さらには大阪城の内堀までが埋められてしまった。本丸しか残らなかったのでは、夏の陣での勝ち目はなかったと思われる。

さて、この大河ドラマ「真田丸」と並行して読み始めたのが、池波正太郎著「真田太平記」だ。全12巻であるが、そこは著者が池波氏であるから読ませる。こちらは、武田信玄亡き後の草の者つまり忍者の活躍が中心に描かれている。また真田信幸が背が高く人格にも優れた人物としても描かれ、大河ドラマと趣を異にしていた。さらに、加藤清正が豊臣秀吉に次ぐ稀代の築城の名手であることを改めて認識した次第である。熊本城はもちろん名古屋城も彼の手によるものらしい。2016年(平成28年)4月14日の熊本地震で熊本城が傷んだのは残念だ。

「鬼平犯科帳」以来、池波正太郎氏の作品で久々に堪能した長編であった。