あんぱくの読書記録

読書はこころの栄養素。日々楽しめた物語を記します。

OCNブログ人から引っ越し中です。 株式会社ASSUMEにて生命保険新契約の取扱相談コンサルティングをしております。

2020年の年初から起こった新コロナウイルス感染症パンデミックにより、企業では在宅勤務が見直されるようになった。仕事をするのに出社には及ばずということである。労働基準法にあるように、勤務時間で測定して賃金を支払うことは今やナンセンスなのである。


大事なのは「今日何をやりとげたか?」ということだけだ。何時に出社して何時に帰ったかは問題じゃない。どんな仕事をしたかが問題なのだ。もしあなたがマネジャーなら、部下に「今日やった仕事を見せてくれ」というだけでいい。給料に見合うだけの仕事をしているかどうか、その目で確かめるのだ。


本著のモチーフは、在宅勤務つまりオフィスから離れて働くこと(remote work)の勧め。 1980年代後半の日本においても、大企業がサテライトオフィス(satelite office)の実験を行った。在宅勤務の他に、移動中、コワーキングスペース(coworking space)を利用した働き方やSOHO(small office home office)などを含めたテレワーク(telework)という概念が提唱されてきた。

テレワークには、コミュニケーション、情報漏洩、仕事自体などの問題もある。これらの阻害要因もIT技術の進歩によって解決しつつあるが、それでも企業運営すなわちソフト面の調整が必要となるだろう。ソフトウエア開発会社「37シグナルズ」が実際に行っていることが参考になると思う。

強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」 強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」
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村上春樹氏が書いた雑文69編、デビュー小説「風の歌を聴け」新人賞受賞の言葉、エルサレム賞スピーチ「壁と卵」などを始めとし、人物論、人生論、翻訳論、小説家論と話は多岐にわたります。まず小説家としての僕の定義を村上春樹氏は次のように語っている。

小説家とは何か、と質問されたとき、僕はだいたいいつもこう答えることにしている「小説家とは、多くを観察し、わずかしか判断を下さないことを生業とする人間です」と。
これを物語の創造として詳しく説明する。


良き物語を作るために小説家がなすべきことは、ごく簡単に言ってしまえば、結論を用意することではなく、仮説をただ丹念に積み重ねていくことだ。我々はそれらの仮説を、まるで眠っている猫を手にとるときのように、そっと持ち上げて運び、物語というささやかな広場に真ん中に、ひとつまたひとつと積み上げていく。どれくらい有効に正しく猫=仮説を選びとり、どれくらい自然に巧みに積み上げていけるか、それが小説家の力量になる。

「壁と卵」と題するエッセイでは、小説家が人々から賛辞を贈られ、高い評価を受ける理由を次のように説明しています。

小説家はうまい嘘をつくことによって、本当のように見える虚構を創り出すことによって、真実を別の場所に引っ張り出し、その姿に別の光を当てることができるからです。
そして村上春樹氏が小説を書くときに、常に頭の中に留めていることは、

もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます。
ということだそうだ。つまり小説を書く理由は「個人の魂の尊厳を浮かび上がらせ、そこに光を当てるため」ということです。

 
村上春樹 雑文集 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
2015-10-28

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田舎町に生まれ育った私にとって英語は話すものではなく、読むための手段であった。というのも外国人には会うことはないからだ。高校生時代には、交換留学制度でオーストラリア人の高校生が1年間在籍していたが、彼とも話す機会が頻繁にあったわけでもない。

インターネットもない時代で、英語に接するのは映画や書籍ぐらいなものである。英語のペーパーバックが日本の小説を読むようにスラスラと読めるようになれたらいいなと思っていた。

いつから村上春樹を読み始めたのかははっきり覚えていない。もともと翻訳が好きな私は彼に憧れていた。村上氏の作品には賛否両論があるようで、物語に脈略がない、簡単に人が死ぬ、意味不明なセックスなどいろいろ言われている。確かに従来の日本文学作品群から見たら一貫性もないのかもしれないが、われわれの生活でバックグラウンドに流れる音楽を読んでいると思えば彼の作品を楽しんで読めるのではないだろうか。

村上春樹氏は「日本文学には残念ながら僕が求めているものはなかった」ということをかつてどこかに書いていました。村上氏の作品の根底には、日本にはない世界があり、それは彼の翻訳作業という地道な訓練から生まれてきたという仮説を私は考えている。ワタナベ君の青春は、私にとって遠い昔の物語と思う。






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あなたの隣にもサイコパスが住んでいるかもしれません。残虐の殺人や悪辣な詐欺事件を起こしても平気な人間です。彼らには反省の色は全くありません。そればかりか自己の正当性を主張します。獄中で手記などを執筆するかもしれません。嘘をついても平気です。平然として不正を働きます。学歴詐称など常のようです。そして隣人であるあなたをトラブルに巻き込む人たちでもあります。サイコパスな人々が増えているという話も聞きました。

サイコパス(psychopathy)は反社会的な人格障害を説明する精神科の疾患概念で、日本語では「精神病質」と訳されています。最新の精神科診断基準であるDSM5では、サイコパスは「反社会性パーソナリティ障害」に分類されます。カナダの犯罪心理学者ロパート・ヘア著『診断名サイコパス』によると、男性では全人口の0.75%がサイコパスだそうです。このサイコパスを扱った文春新書『サイコパス』で著者の中野信子さんが、サイコパスの特徴を次のように挙げています。


  • 外見や語りが過剰に過剰に魅力的で、ナルシスティックである。
  • 恐怖や不安、緊張を感じにくく、大舞台でも堂々として見える。
  • 多くの人が倫理的理由でためらいを感じたり危険に思ってやらなかったりすることも平然と行うため、挑戦的で勇気があるように見える。
  • お世辞がうまい人ころがしで、有力者を味方につけていたり、崇拝者のような取り巻きがいたりする。
  • 常習的にウソをつき、話を盛る。自分を良く見せようとして、主張をコロコロと変える。
  • ビッグマウスだが飽きっぽく、物事を継続したり、最後までやりとげることは苦手。
  • 傲慢で尊大であり、批判されても折れない、懲りない。
  • つきあう人間がしばしば変わり、つきあいがなくなった相手のことを悪くいう。
  • 人あたりはよいが、他者に対する共感性そのものが低い。

上記のような特徴を備えた隣人がふつうにいるということです。サイコパスの身体的特徴の1つには心拍数が低いことがあります。つまり脈の遅い男性はサイコパスの可能性があるわけです。


サイコパス (文春新書)
中野 信子
文藝春秋
2016-11-18




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暑さ厳しき折、ますますご健勝のことと存じ上げます。

人生の座右の一冊に出会えることこそ、比類なき瞬間です。

日々の読書の記録が、みなさまへの新たなこころの糧となることを
願いつつ、本読書記録のブログを続けて行きたいと思っております。

旧倍のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

                                            平成31立秋

                                            牧野 安博, MD&MBA 拝復





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 ブラック企業被害対策弁護団と著者の今野氏が、本著で日本のブラック企業の実態を明らかにしてくれる。すなわち従業員を使い捨てにする営利組織といえる。大量に採用して使えなくなったら解雇することは、今に始まったことではない。

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 マスカレード・イブは、マスカレード・ホテルの事件が起こる前の時期を扱っている。新シリーズの主役2人が出会う前のそれぞれの活躍を描いているのだ。1人は刑事、もう1人はホテルウーマンである。ホテルウーマンは、お客さまの仮面を細やかな観察力で守る。刑事は、犯人の仮面を大胆な推理で暴く。それぞれの立場と使命感が違う2人が、次の犯行現場に指定された一流ホテルで出会う。東京都内で起こった連続殺人事件の捜査を担当する刑事が、ホテルへ潜入捜査に入る。ここからの話がマスカレード・ホテルである。2019年1年18日に映画「マスカレード・ホテル」が公開された。

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ヒトの発がん仮説にがん幹細胞理論がある。これは、がん細胞のうち幹細胞の性質をもった細胞で、幹細胞の性質をもったごく少数のがん細胞(がん幹細胞)を起源としてがんが発生するのではないかという仮説をいう。
 基礎医学研究者である著者の山崎裕人先生は、まず「医学の歴史」についてこう説明する。
  医学の歴史とは、「病と紛争の戦記」と言い換えることができるだろう。戦争は、自己の生存のために敵を殺すという「悲劇」だ。一方病気は、平和な時代でも容赦なく人命を奪ってしまう「災い」である。ゆえに歴史とは、生存への飽くなき執着によって築かれたものなのだ。
これは自己保存や種保存のために、自己と非自己を区別して、病気と戦う記録が医学の歴史ということだろう。国益と国益を賭けての戦いが戦争であり、政治は武器を使わない戦争ともいえる。さらに続けて著者は、死の恐怖からその闘いをやめられないと、次のように述べている。
  死への恐怖は人間の根源的なものであり、古来人々は「不老不死」を願った。中でもがんは「病の皇帝」と呼ばれ、今もなお、人類はその闘いをやめることができない。
中国の秦の始皇帝も、不老不死の妙薬を求め、国内各地で探させたという逸話が残っている。死の恐怖つまり生への執着は、いつの時代も同じである。始皇帝は、最後に水銀を飲んで命を落とすことになるのではあるが。
  
  



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面白くて一気に読み終えた。人類がアフリカで生まれて世界中に広がったように、現在の新興感染症の多くも、アフリカ大陸の密林から始まり全世界に拡散しているのは事実のようである。感染症の歴史は、人類史とパラレルにあるというわけだ。さらに難問は、広がって行く過程でウイルスは大きく変化していく。一部は人のDNAに組み込まれたウイルス遺伝子もある。中には感染力を大きく増幅させるウイルスが生まれる。観光立国を目指している日本では、世界中から観光客を迎え入れている。感染爆発がいつ起こっても可笑しくない状況である。自己防衛のために一読をお勧めする。

【目次】
まえがき――「幸運な先祖」の子孫たち

序 章 エボラ出血熱とデング熱――突発的流行の衝撃
1.最強の感染症=エボラ出血熱との新たな戦い
2.都心から流行がはじまったデング熱

第一部 二〇万年の地球環境史と感染症

第一章 人類と病気の果てしない軍拡競争史
第二章 環境変化が招いた感染症
第三章 人類の移動と病気の拡散

第二部 人類と共存するウイルスと細菌

第四章 ピロリ菌は敵か味方か――胃ガンの原因をめぐって
第五章 寄生虫が人を操る?――猫とトキソプラズマ原虫
第六章 性交渉とウイルスの関係――セックスがガンの原因になる?
第七章 八種類あるヘルペスウイルス――感染者は世界で一億人
第八章 世界で増殖するインフルエンザ――過密社会に適応したウイルス
第九章 エイズ感染は一〇〇年前から――増えつづける日本での患者数

第三部 日本列島史と感染症の現状

第十章 ハシカを侮る後進国・日本
第十一章 風疹の流行を止められない日本
第十二章 縄文人が持ち込んだ成人T細胞白血病
第十三章 弥生人が持ち込んだ結核

終 章 今後、感染症との激戦が予想される地域は?

あとがき――病気の環境史への挑戦





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 時代は空前の将棋ブームである。2017年には中学生でプロとなった藤井蒼汰棋士が公式戦で29連勝、このおかけで加藤一二三棋士が引退したが芸能界デビュー、羽生善治棋士が永世7冠を達成、創刊60年の老舗婦人誌「家庭画報」が2018年1月号で初心者向けの紙の将棋盤と駒を付録にし書店で完売が続出している。
 さて本著「理想を現実にする力」の著者である佐藤天彦棋士は、2016年第74期名人戦にて羽生善治棋士を破り、史上4番目の若さの20歳代で名人位を獲得した。将棋界400年の歴史の中で名人位についた棋士は、たったの26人だけである。「将棋の神に選ばれた者だけが名人になれる」とは至言である。
 将棋界は、名人挑戦者となるための長い長い順位戦での戦いを経なければ挑戦者にもなれない世界である。「将棋は逆転のゲーム」といわれる。常に盤上に集中して深い読みに入っていくことしか勝てない世界だ。かつて升田幸三棋士が「この幸三、名人に香を引くまで帰らん」と母の使う物差しの裏に書いて家を出たという逸話もある。
 佐藤名人も、子供のころの憧れであり夢であった名人を目指し、理想を追いもとめていたに違いない。名人も、こう語っている。
 手の届かないほどの究極の理想は、まずは手の届く現実の姿に変換していく。それがファンタジーのような夢をたぐり寄せる第一歩であると思っています。
 このように、理想を追い求めるというのは現実的な考えを捨て去って無茶な夢を追いかけることではありません。理想論はどこまで行っても理想論に過ぎませんし、大言壮語は言うは易し、です。
 将棋はオープンソースの世界でもある。対局の記録である棋譜は、対局者同士が作る作品であるが、その際の新手は翌日には研究されて対策が講じられてしまう。羽生善治棋士が予想した2015年にはAIがプロ棋士を既に負かせている。しかし対局者が作り出すタイトル戦という物語は残るであろう。

理想を現実にする力 (朝日新書)
佐藤天彦
朝日新聞出版
2017-04-13


目次
【第1章】すべては理想を持つことからはじまる
・自分がどんな物語をつくるか?
・高い理想ほど現実的に逆算する
・理想の将棋、理想の一手
・ストップをかけようとする心を疑う
・自分の特性にこだわりすぎない
・安全策がリスクになることがある
・まずは一つの得意分野を究める
・考え方はオールラウンダーの姿勢で
・憧れや尊敬の気持ちは原動力になる
・「選択肢の地図」で感覚を養う
●貴族のコラム1――自分らしくいられる“貴族"服

【第2章】劣勢をはね返す逆転の心がまえ
・将棋は逆転のゲーム
・モチベーションが下がったときこそ大博打
・名人戦での羽生名人詰み逃しの真相
・将棋には必殺の一手はない
・大事なのは局面を複雑化させること
・地道な種まきをしながら機を見抜く
・どうすれば過去を引きずらなくなるのか
・勝つためには「勝ちたい気持ち」から離れる
・たとえボロボロになって負けても
●貴族のコラム2――クラシック音楽でモチベーションを上げる

【第3章】奨励会を生き抜くということ
・小学生時代から勝負に明け暮れる
・幸せになるには強くなるしかなかった
・人生の大博打
・盤上で頼れるのは自分だけ
・「悔しい」気持ちになるのは余裕があるから
・将棋界以外の世界も知りたい
・なぜフリークラス入りを見送ったのか
・プロ棋士になるだけが人生ではない
・相手を蹴落として勝つことの重み
・感情だけではいつか決壊する
・自分は彼ほど将棋が好きなのか
・重たかった奨励会ではあるけれど
●貴族のコラム3――勘とは積み重ねた経験のこと
●貴族のコラム4――時間をかけて直感の正しさに気づく

【第4章】名人を生んだ低迷期の過ごし方
・結果が出なかったときに考えていたこと
・途方もなく大変な順位戦
・悔しい結果でも、現実に起こることには妥当性がある
・目先の勝利にとらわれず、長期的な視点を持つ
・棋譜の中に英雄の姿を見る
・土台を固めて初めて個性を発揮できる
・若手棋士同士の争いに後れをとる
・何かの役に立っているという実感を持つ
・自分の努力のリターンは求めない
・方針の転換は妥協ではない
・尊敬する棋士からの叱咤で奮起する
●貴族のコラム5――私の将棋ごはんと幸せについて

【第5章】勝負は感情で決まる─天彦流メンタル訓練法
・棋士は心を整えることが多い職業
・感情のままに物事を決断しない
・自分の心の弱さを認める
・必要以上に自分を責めなくていい
・強い精神力よりも“状況づくり"が重要
・「彼に負けたのなら仕方がない」と思われるように
・マイナスの感情には論理的思考で対抗
・自分にも他者にも「公平な視点」を心がける
・自然体でいれば、批判も受け入れられる
・勝負を「楽しむ」視点を持つ
・「幸せ装置」をたくさん用意する
・人生を俯瞰する視点を持つ
●貴族のコラム6――理想の家具と青い鳥

【第6章】コンピューターとの対決
・名人対コンピューターの意味
・負けるのは仕方がない?
・「強さ」だけを比較するのはナンセンス
・ソフトと人間は何が違うのか
・応援してくれるファンをがっかりさせないために  
 
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